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Channel: 紅蓮寺
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滅殺観音パート2

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気がついたら私は流血し横たわっていた。

とは言っても、観音の死のパンチ連打からその状態になるまで1ヶ月くらい、プロセスがあった。観音の死の宣告から、自分の身体がものすごく臭くなって、これが死臭かと気づいた。私は完全にこの世界とおさらばして地獄に行くのだ、ということしか頭になかった。また、大地の下に自分の身体の熱が全て移動してしまう感覚があった。身体のひどい熱が床下にわだかまっているのだ。上空から謎の細かい花が雨のように降っていた。そして、その細かい花がジャスミンの香りの正体だった。ソファに寝ても、ソファの下にもうひとつ自分の身体がいる感覚がある。神社の前を歩けば、鳥居から何かがゴウゴウと音を立てて出入りしていて、後で見たら「人間は門」とかいう謎のメモを書いていた。祈っていたら数珠が切れてバラバラになった。死ぬのはいいが、地獄が嫌だった。

同時に我が家や家族との別離の強い悲しみが絶えずあった。家族は目の前にいたのだが、謎の脳内構造なのだ、その時は。踏ん張っていたが、自分が間違ってこの世に居残っているという実感があり、ヘリコプターの音を聞けばアレは私を探しているのだ、とビクついていた。救急車の音はカウントダウンに聞こえた。そして、自分の身体からひどい死臭。眉間前50センチで白光を放つ観音の「死ね」圧はますます強まり、私は耐えきれなくなった。観音は取れない。そこからは記憶も飛び飛びで覚えていない。

そして、冒頭の流血し横たわった状態になった。ここでは書けませんが、かなりひどいケガといいますか、気づいたら私はかなり流血していて、毛布がグッショリ血で染まるほどだった。そんな状態の私を家族が発見して私は江戸川病院に運びこまれた。医者は薬物を最後まで疑っていて、胃洗浄させられた。そんな薬はやってませんが。そして傷口を縫ってもらったが、傷跡はまだ残っている。

死に損なった私は、メンタで処方されたアモバンという睡眠薬を飲んでひたすら眠り、起きているときはリル・キムというヒップホップでもかなり下世話なものを聞いて過ごした。リル・キムで完全に観音が出てこなくなった感があった。おかげで私は寛解に向かった。


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