さて、黄帝の時代の北極星は現在の位置とは違うところにありました。
黄帝紀元というものがあります。黄帝誕生の年を紀元としたものです。辛亥革命のあった中華民国(現在の台湾)により黄帝紀元が採用、西暦1911年を黄帝紀元4609年とされました。が、すぐに孫文により廃止されました。今年西暦2024年は中国の黄帝紀元で4722年。約5000年前です。約5,000年前(紀元前3,000年頃)の北極星は、りゅう座のアルファ星であるトゥバンでした。トゥバンは3等星で、4等星とも呼ばれ、かなり暗い星でした。
古代中国天文学ではりゅう座は、三垣の1つ「紫微垣」とされます。紫微垣(しびえん)とは、天の北極を中心とした天区。天帝の在所とされたため、朝廷の異称ともなりました。紫禁城の「紫」もこれに基づきます。
黄帝の姓は姫、氏は軒轅(けんえん)といいます。軒轅は、中国の星座にもなっており、添付画像の通り龍蛇形をしておりますが、西洋の星座で言えば、獅子座に属しています。起点がレグルスから、小獅子からやまねこ座まで。春の星空で観察するに、軒轅の真上に北斗七星あり。北斗七星の真上に当時の北極星トゥバンがあります。『列仙伝』によると、遷化の際に黄帝は龍に乗って昇天した、または衣服と冠だけを残して白日昇天したと伝えられています。軒轅を上に昇らすとすぐ紫微垣なので、アステリズム上では上手くできている。
さて、また『山海経』の出番になりますが、『山海経』の「海外西経」には軒轅国なる奇怪な国が出てきますが、黄帝はここの国の出身のために軒轅と呼ばれたようです。長寿の人ばかりが住む国で、短命の者でも八百歳も生きる。顔は人間だが、体は蛇の姿をしているという。なんだかナーガや宇賀神さんそっくりですね。
黄帝が蛇の部族なわけですが、これは蚩尤の他に、農耕の祖と言われる炎帝神農も頭が牛とされたので、これは異質なことです。古代中国において、牛がトーテムの農耕民と、龍蛇がトーテムの遊牧民の力のせめぎ合いが見てとれます。
ヘロドトスによればスキタイの祖先は蛇女エキドナとヘラクレスの子です。ヘラクレスがスキュティアの地にやってきた時、馬がいなくなった。馬を探すうちに訪れたヒュライアの地で、上半身は娘の姿で、下半身が蛇の姿であるエキドナと遭遇した。エキドナは馬を返す代わりにヘラクレスに愛を求め、しばらく同棲したのちにエキドナは身籠った。この三人のうち末子スキュテスがヘラクレスの言った条件をクリアしてヒュライアの王となり、スキタイの祖先となりました。「スキタイ」という名前の語源は、このスキュテスから来ている。スキタイは西でアッシリアやメディア、ペルシアを破り無双した後、東進し、モンゴロイドと混血して匈奴となりました。
蛇がトーテムの部族はスキタイだけではなく、かなり後にスキタイの支配地域に出現した柔然もまたそうです。柔然はアヴァールとも呼ばれますが、アヴァールは蛇を意味する語(中世モンゴル語ではAbarga、突厥語ではAbakan、女真語ではAbahai)です。
エキドナと同じく人面蛇身である伏儀と女媧もおそらく、スキタイからの伝承が黄帝を通して、農耕民族である神農や蚩尤の部族と混合されたものと思われます。
しかし、このように、遊牧民は明らかに人面蛇身の何者かが祖先とされていますがなぜでしょうか?肝心なそこの理由はさっぱりわかりません。ブラックボックスと化してますので、Excelの関数のような概念が必要です。こういう時は、本当に軒轅国の住人のようなレプタリアンがいて、遊牧民の発生と関わりがあった、と考えてみると思考が楽です。それどころか、現代の人類にも関わりを持ち、影響を及ぼしているのではないか?私は最近、非常に近くにレプタリアンがいるという気がしてなりません。